自己破産の手続きには、大きく次の2種類があります。
- 管財事件
- 同時廃止事件
こちらでは、この2つについて詳しくお伝えいたします。
管財事件
破産の手続きは、破産者の持つ財産を調査管理した上で処分してお金に換え、そのお金を債権者に平等に弁済または配当するというものです。
財産の管理業務を裁判所が全て行うのでは、裁判所の負担が大きくなってしまいます。
そのためこれらの業務は、裁判所が選任した破産管財人が行います。
基本的に破産管財人は、破産管財人登録している弁護士の中から選ばれます。
要するに裁判所が弁護士に外注して、その弁護士が破産者の財産を調査・管理し、換価処分や配当を行うのです。
このような破産管財人が選ばれて行われる破産の手続きの事を「管財事件」と言います。
破産手続きは基本的にこちらの管財事件であり、自己破産の手続きでも同様です。
ただし、個人の自己破産の場合には、普通の管財事件に比べて簡易化した手続きで、予納金の額も少額で済む「少額管財」で進められる事がほとんどです。
尚、個人の自己破産では、財産の調査の結果、配当するほどの財産がないという事がわかり、それによって手続きが終了となる事が多くなっており、その事を「異時廃止事件」と言います。
同時廃止事件
破産手続きは上記の通り管財事件が原則です。
しかし、破産手続きの大きな目的は破産者の財産をお金に換え、それを債権者に配当する事であり、もし最初から処分出来る財産がない事がわかっている場合にまで、わざわざ破産管財人を選んで手続きを進めるのは無意味と言えます。
手続きをしたとしても、破産管財人に対する報酬も支払われない事にもなってしまいます。
そこで破産法では、そのような場合には破産手続き開始と同時に破産手続き廃止決定がなされるとしています。
この事を「同時廃止」と言います。
破産手続きの廃止とは、破産者の財産を処分しても破産手続きの費用も支払えないような状況の時に、破産手続きを終わらせる事を言います。
つまり、同時廃止とは、破産手続きを始める段階で既に破産手続きの費用の支払も不可能である事が明らかなケースでは、手続き開始と同時に手続きを廃止にするというものです。
同時廃止事件は、破産管財人が選ばれる事もなく、極めて簡単に手続きが終わる事となります。
法律的にはこの同時廃止事は例外ではありますが、個人の自己破産では決して珍しい事ではありません。
例えば東京地裁において行われる自己破産(個人)では、3、4割が少額管財手続、6、7割が同時廃止手続だという事です。
少額管財の運用
東京地方裁判所をはじめとして、多くの裁判所で少額管財という制度が運用されています。
管財事件では、破産管財人の報酬を支払わなくてはいけないので、裁判所に納める予納金が高額に設定されます。
しかし、個人の自己破産の場合では、そうした高額の予納金を支払う事が出来ないケースも少なくありません。
また、破産管財人を選任しない同時廃止事件として取り扱われようと、虚偽の申告をするという問題も頻発していました。
そこで予納金を少額に抑えた上で管財事件として扱う「少額管財」という制度が、
運用されるようになったのです。
東京地方裁判所では現在ほとんどの個人の自己破産での管財事件は、こちらの少額管財で行われています。
ただし、少額管財は各裁判所の運用であり、法律上はこのような制度はなく、少額管財の運用をしていない裁判所もあるので、注意が必要です。

