個人で自己破産する場合には、破産手続開始の申立てと、免責の許可の申立ての両方が必要です。
こちらでは、破産手続の開始と免責許可の申立てについて解説したいと思います。
破産手続と免責手続
破産手続と免責手続は、どちらも破産法によって規定された手続きですが、法律上はそれぞれ別の手続きとされています。
そのため、破産手続きを開始するための申立てと、免責許可の申立ては別のものとなります。
とは言え、個人の自己破産で重要なのは免責です。
免責が許可されなかったら、残った債務の支払いは免除されません。
それでは自己破産をした意味が全くなくなってしまいます。
免責が許可される事によって、はじめて債務者の経済的更生が図れる事となるので、破産手続と免責手続は一体として扱う必要があると言えます。
そこで、実際の運用では破産手続と免責手続は一体として取り扱われており、申立ても同時に行うのが一般的です。
破産手続開始と免責許可の申立て
破産手続も免責許可も、申立てをするために裁判所にそれぞれ書類を提出する事が必要です。
しかし前述の通り、この二つの手続きは一体として扱われているので、実際には申立書も一体化されています。
その書類が「破産手続開始・免責許可の申立書」というものです。
この書類を提出する事で、破産手続と免責許可の申立てを同時に行えます。
つまり、破産手続開始と免責許可をそれぞれ別に申し立てする必要はないのです。
同時申立てのみなし規程
「破産法第248条」
4、債務者が破産手続開始の申立てをした場合には,当該申立てと同時に免責許可の申立てをしたものとみなす。ただし,当該債務者が破産手続開始の申立ての際に反対の意思を表示しているときは,この限りでない。
ご説明した通り、「破産手続開始・免責許可申立書」という書類があり、そのふたつは同時に申立てするのが一般的です。
破産手続は申立てたものの、免責許可を申立てるのを忘れてしまったという事は現実的には考えられません。
万一忘れていたとしても、受け付けた裁判所の担当者が指摘してくれる事でしょう。
しかし、一応法律上はそういった場合の救済措置が設けられています。
それが上記の破産法第248条第4項です。
ここでは、自己破産で破産手続開始の申立てが行われた場合には、債務者が免責は不要であるという意思を示していない限り、免責許可の申立てもあったものみなすとしています。
つまり、もし免責許可の申立てを忘れても手続きを進めてくれるという事です。
債権者申立ての注意点
債権者申立ての場合は、事情が少し変わって来ます。
当然といえばそうですが、債権者には免責許可の申立権はありません。
つまり、債権者が債務者の破産を申し立てた場合には、免責許可の申立てはされていません。
さらに債権者が申立てする場合には、上記のような同時申立てのみなし規定もありません。
ですから債権者が破産申立てをするケースにおいては、債務者は自分で別途免責許可を申立てる必要があるのです。
また、免責許可の申立てのみを行う場合には、期間に制限がありますのでそこにも注意が必要です。
債権者が破産手続き開始の申立てをして、それが決定されてから1ヵ月以内に免責許可を申立てる事が必要です。

