日本弁護士連合会では、「債務整理事件処理の規律を定める規程」を設けています。
こちらではその規程について、解説いたします。
日本弁護士連合会
弁護士になるには、日本弁護士連合会という弁護士団体に登録される事が必須です。
例外はなく、日本弁護士連合会には日本の弁護士は全員加入する事になっているのです。
この団体は略して日弁連と呼ばれています。
その日弁連には「債務整理事件処理の規律を定める規程」というものがあります。
前述の通り、日本の弁護士は全員この団体に属しており、日弁連で定めた規定は弁護士にとって極めて強力な拘束力を持っています。
法令と同様の遵守を求められていると言っても、過言ではありません。
ですからこの「債務整理事件処理の規律を定める規程」も、弁護士は絶対に守らなければいけない規程と言えます。
債務整理事件処理の規律を定める規程
「債務整理事件処理の規律を定める規程」の内容は次の通りです。
(目的)
第1条
この規程は、過払金返還請求事件を含む債務整理事件が多量に生じている状況において、債務整理事件について一部の弁護士(弁護士法人を含む。第七条を除き、以下同じ。 )によって不適切な勧誘、受任及び法律事務処理並びに不適正かつ不当な額の弁護士報酬の請求又は受領がなされているとの批判があることに鑑み、臨時の措置として、債務整理事件の勧誘、受任及び法律事務処理に関して弁護士が遵守すべき事項を定めるとともに、主として過払金返還請求事件における弁護士報酬の額を適正化し、もって弁護士に対する国民の信頼の確保及び依頼者の利益の擁護を図ることを目的とする。
かつて債務整理や過払い金返還請求の事件を処理するにあたって、不当に高い報酬を請求したり、不適切な処理がされたりするなどの問題が生じていました。
それに対して多くのクレームが寄せられた事から、日弁連ではこのような規程を作って、報酬や自己処理の適正化を図ろうとしました。
事件処理の適正化の規程では、委任契約時の弁護士により直接の面談や事情聴取、そして事件処理方法の説明義務などが定められています。
これは弁護士が面談をせずに、事務職員だけで事件処理を進めてしまうような法的な問題が生じるのを防ぐためです。
また、他にも残債務があるにもかかわらず、過払い金返還請求のみを受けるのも原則禁止されています。
報酬については次のように規定されています。
- 解決報酬は1社につき2万円以下(商工ローンは5万円以下)
- 減額報酬は10%以下
- 過払い金回収報酬は回収額の20%以下(訴訟で回収の場合25%以下)
この他にも次のような事も決められています。
- 広告での報酬基準明示の努力義務
- 直接面談が必要な事の明示義務
- 過払い金返還請求のみの依頼が問題ないかのような内容の広告の禁止
- 債務整理・過払い金返還請求事件の広告規制

